こんにちは。マシューです。
本日は私が視覚障害者となった原因である、網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)という病気について、
自分の経験や参考サイトを元に説明したいと思います。
■参考・引用したサイトURL
・https://www.nanbyou.or.jp/entry/337
・https://www.skk-net.com/health/me/c01_09.html
・https://www.tsukazaki-hp.jp/care/ophthalmology/retinitis-pigmentosa
網膜色素変性症(もうまくしきそへんせいしょう)とは?
網膜色素変性症:指定難病90
先天的な遺伝子変異が原因で網膜の視細胞が障害される病気(疾患)です。
病気の進行は個人差が大きく、非常にゆっくりと進行する場合が多いとされている。
最終的には失明につながる可能性が高いが、人によっては失明に至らない場合もある。
人口あたり4000人~8000人に一人が罹患(りかん:病気にかかること)していると言われています。
患者数:27,158人(平成24年度医療受給者証保持者数)
※医療受給者証を持っていない方も多いと思いますので、実際の患者数はもっと多いと考えています。ちなみに私も持っていません。
網膜色素変性症の症状
夜盲(やもう)
夜や薄暗い屋内など光が少ないところで見えにくくなる(通常時より視力が落ちる)。
鳥目(とりめ)といわれることもある。
視野狭窄(しやきょうさく)
視野(見える範囲)が狭くなる。
視線を真っ直ぐにした場合、足元や視野の周囲などが視覚に入らなくなる。
盲点(もうてん)が増える
部分的に見えない箇所が増える。
一般的に健康なヒトの目でも盲点は存在しますが、右目と左目で保管し合って盲点を感じない様に見えます。
しかし、両目で盲点が重なった場合盲点が認識される様になります。
視力低下
一般的な視力検査で用いられるランドルト環(Cマーク)検査の「視力:1.2」などの数値が落ちます。
網膜色素変性症に関わらず、年齢とともに視力は低下しますが、この病気の場合低下する年齢が早かったり、場合によっては失明するまで低下する可能性があります。
羞明(しゅうめい)昼盲(ちゅうもう)
夜盲とは逆に明るいところが見え難くなる。
蛍光灯など室内照明程度ではあまり感じないが、日光などの強い光の場合に見えづらくなる(視力が落ちる)。
色覚異常
色覚(色を見分ける力)に異常(色の見え方が違う)がある。
※参考サイトに色覚異常に関して記載のないところもあるので、必ずしも色覚障害が発生するとは限らないかもしれません。なお、私は色覚異常です。
画像引用元:https://webtan.impress.co.jp/e/2019/10/09/33819
症状の進行について
主な症状は上記に記載したものになります。
ただ各症状にはかなり個人差があるようです。
また各症状は年齢とともに徐々に進行していきますが、進行の速度も個人差が大きいのが特徴です。
幼少時にすでに発病している重症の場合は30代、40代のうちに光を失ってしまうこともありますが、80歳になっても実用的な視力を保っている人もいます。
私の場合は20代後半ごろから症状の進行が早まり、数年で視力が著しく低下しました。
全体的な傾向として最初に現れる症状は、夜や薄暗い屋内でものが見えにくくなる「夜盲」です。
その後、「視野狭窄」が少しずつ進行し、見える範囲が周辺部分から中心に向かい狭くなっていきます。
後期には色覚異常や光視症、羞明などを自覚するようになる。
網膜色素変性症の原因は?
遺伝子変異の先天性疾患なので、後天的には発病しないとされています。
遺伝子変異が原因で網膜の視細胞及び色素上皮細胞が広範に変性すると考えられています。
また、先天的に発病していた場合でも症状が現れるのが遅ければ、網膜色素変性症と診断されるのが成人になってからということもある様です。
網膜色素変性症の治療法は?
残念ながら現時点(2022年7月)において治療法は確立されていません。
しかし、2020年10月に神戸アイセンター病院がiPS細胞から作成した網膜視細胞を網膜色素変性症の患者に移植する手術を無事終了したと発表しました。
https://www.amed.go.jp/news/seika/kenkyu/20201118-01.html
また2022年2月より同病院がiPS細胞を使用した臨床を開始したと発表しました。
https://www.city.kobe.lg.jp/a89323/press-iryosangyo/202202/20220218041701.html
まだまだ一般的な治療とは言えませんが、今後の網膜色素変性症の治療法に対して期待が高まっています。
iPS細胞以外の治療法・予防策は?
現在保険適応で認められているものとして、カルテノイドの一種のアダプチノールという経口薬があります。暗順応を一時的に改善するとされていますが、病気の進行を抑えるといった効果については不明です。
他にもビタミンAや血管拡張剤などを医師の判断で処方することもありますが、これらの治療薬が進行を確実に抑制するという証明はされておりません。
また、視細胞は強い光を長時間受けると、寿命が短くなることが、動物実験で確認されています。
視細胞をいたわるため、普段から屋外ではサングラスをかけることが推奨されています。
ただ若年層にはサングラスをかけることに抵抗感がある方も多いと思います。私もサングラスはかけていません。
メガネに紫外線・ブルーライトカットのレンズを使用するなどで対処しています。
網膜色素変性症で困ること
・混雑した場所で人とぶつかることが増える
・信号が判別しづらくなる
・人の顔が認識しづらくなる
・階段を踏み外す
・足元にある障害物に気が付かずぶつかる
・小銭が判別できなくなる(10円玉と100円玉など)
・夜や薄暗い場所で人や物にぶつかる
・字が見づらくなる、書きづらくなる(重症の場合、字は見えない)
・買い物の時、値段がわからない(プライスカードが見えない)
・服のコーディネートが困難(色の組み合わせがわからない)
・知らない場所に行く事が億劫になる
困ることはたくさんあります。
もちろん症状には個人差があるので、困る場面も人によって異なると思いますが、概ね上記事項は共通して困るのではないのでしょうか。
このトピックはまた別記事でもっと詳しく書きたいと思います。
視力低下によって良い事もある
・人を見た目で判断しなくなる
・聴覚が良くなる
・記憶力が良くなる
・思考力が高まる
私は視覚障害になり、出来ないことや困ることはもちろん増えましたが、良い面もあると思っています。
上記事項はほんの一部ですが、視覚に頼らない分他の感覚が高まっているように感じています。
視力が低下することが良いことと捉えるには抵抗はありますが、一概に悪いことばかりではないと考えています。
このあたりの事もまた別記事で詳しく書きたいと思います。
網膜色素変性症と診断されたら
ご自身、またはご家族の方が網膜色素変性症と診断されたら、将来が不安になると思います。
失明したらどうしよう。。。
どうやって生活したらいいのだろう。。。
仕事はどうしよう。。。
当然の不安だと思います。
私は現在、視覚障害2級です。
病気(症状)が進行しているのは重々感じています。
もしかすると数年内にほぼ視力が失われるかもしれません。
しかし、視覚障害は不便ですが、決して不幸ではないと感じています。
どうぞご安心ください。
徐々に進行する症状には対応していくことが可能です。
次回以降の記事で、網膜色素変性症と診断された方(そのご家族)、視力が低下している方、視覚障害の方に向けて、少しでも不安を取り除ける様に、対策などを書いていきたいと思います。